「早く迎えに来て」
わたしがこのことばを偽ソウルさんに言うようになったのは、いつからだっただろう。
6月の終わりだったか、7月に入ってからだったか、そのへんはよく覚えていないけれど、
とにかくわたしは偽ソウルさんに「早く迎えに来て」と口癖のように言うようになっていた。
要するに「嫁と別れて責任をとれ」ってことなんだけど、
これはもうわたしにとってはプライドの問題の話だった。
「なんでわたしが、好きでもない男の二番手にならなきゃいけないの?」
要するにわたしは、そう思っていたわけだ。
つまりわたしは偽ソウルさんのことなんて、
ほんとうにこれっぽっちも好きじゃなかったってことだ。
好きだから傍にいられれば、それでしあわせ・・・なんて殊勝なことを、
偽ソウルさんに対して思ったことは一度もなかった。
もうそれだけで、わたしがぜんぜん彼のことを好きじゃなかったことがよくわかるし、
それは当時の自分も気づいていることだった。
もちろん今ほど完全にくっきりパッキリ客観的に見れていたわけではないけれど、
その渦中にいるころから、わたしはレイさんを好きな自覚がうまれていたので、
自分がほんとうはぜんぜん、偽ソウルさんのことを好きじゃないことに気づいていた。
その渦中にいるころから、その事実にわたしは気づいていた。
だけど、どうせレイさんと結ばれることが不可能なのであれば、
それならほかのひとを探すよりも、
わたしのことを好きでいてくれる偽ソウルさんと一緒にいたほうがいい。
そのうえ偽ソウルさん夫婦には子どもがいなかったから、
そういう意味でも離婚を要求することじたいにわたしの胸はまったく痛まなかった。
でもそれはけっきょく、わたしが偽ソウルさんのことをまったく好きではなくて、
自分の思いどおりにしたかったからであり、それがわたしのプライドだったからだ。
つまりそこには偽ソウルさんに対する愛情なんて、これっぽっちもなかった。
だけどさすがにその渦中にいるときは、うすうす気づいている部分があったとはいえ、
ここまでハッキリとその事実に気づいていたわけではない。
少なくとも「条件付きの好き」とはいえ、偽ソウルさんを好きだったのは事実だし、
またわたしは一人になることが異常にこわかった。
そんなわたしの「早く迎えに来て」という要求は、日に日にエスカレートしていった。
そしてある日、彼は言った。
「実際にリアルで会ったことがあるのは、初めて会ったあの日だけだし、
とにかく一度、萌ちゃんに会いに行って、そのときに自分がどう感じるか確認したい。
それは萌ちゃんが、ぼくに対してどう感じるかってことにも、同じことが言えるし」
たしかにそれは正論だ。
というより、わたしももう一度、偽ソウルさんに会いたいと思っていた。
それは彼を好きだから・・・というよりも「また会いに来るよ」と言った、
その約束を守らなければ、わたしは彼を許すことができなかったからだ。
もちろん、そんなことを思っているなんて偽ソウルさんには言わなかったけれど、
とにかくわたしは「また会いに来る」と言った彼の約束を守らせたかったのだ。
そして7月の下旬に入るころ・・・彼はふたたび東京へ来ることになった。
☆有料マガジン【月刊:菅野 萌の占いは男と女の運命学】運営中☆
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
菅野 萌のLINE@のQRコード
菅野 萌のLINEトーク占いのQRコード
※FB@プライベート
※FB@オフィシャル
菅野 萌のTwitter
@moe_suganoさんのツイート
Instagramやってます♪
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。